2019

大正通りの料理店

商業ビル

  • 用途:店舗併住宅
    竣工:2019年3月
    構造:木造
    階数:地上3階
    敷地面積:62.06㎡
    建築面積:43.83㎡
    延床面積:131.49㎡

  • 設計:佐久間徹設計事務所
    構造:筬島建築構造設計事務所
    施工:宮嶋工務店
    撮影:石井雅義
    *店舗2戸・専用住宅1戸

吉祥寺、東急裏に位置した大正通り沿いの老舗料理店の建て替えの計画です。近年、人気のエリアになっており、その土地の価値を最大限活かした複合的な計画が求められました。1階には収益性の高い貸店舗。2階に隠れ家的な料理店、3階に住宅、を配置した3階建ての構成です。

両側には隣地建物がせまり、正面の通りはコニュニティバスの路線にあるため、工事は容易ではありません。コストと施工性の両面から判断して、木造を採用しています。商業ビルではありますが、昨今の工事費を考えると、木造が十分に相応しいと考えました。

1階の貸店舗には、有名な鞄店が入ってくださりました。外装をそのまま活かしてサインを設置していただいているのが、建物全体に馴染んでいます。

2階の料理店は、カウンター席を基本とした親身な空間です。厨房と客席のレベル差は、店主と客の目線の関係を考慮して決定しました。客席側の寸法、カウンターや厨房内の寸法も熟考されたものになります。建材は、提供される料理の内容の割には、質素な材料でしつらえられています。上質な時間を過ごす場所でありますが、気楽に、親密な雰囲気を大切にされる店主のバランス感覚がよさが感じられます。

先日、食事をいただきに伺いました。看板も小さく、いまだにwebでも紹介されておりません。しかし、日々繁盛されているのはなぜなのでしょう?昔からの常連さんと、そのご紹介、関係者つての口コミだけのようです。“良いお客さんしか来ないので、お店の雰囲気がよくなる。料理も雰囲気もよければ、また来たくなる。” シンプルですが一番理想的な商売の方法のように思います。ぜひ見習いたいところです。