2017

吉祥寺南町の家

邸宅

  • 用途:集合住宅
    竣工:2019年2月
    構造:鉄筋コンクリート造
    階数:地上4階 地下1階
    敷地面積:61.37㎡
    建築面積:42.46㎡
    延床面積:206.76㎡

  • 設計:佐久間徹設計事務所
    構造;筬島建築構造設計事務所
    施工:春日建設
    撮影:長谷川健太

吉祥寺駅からほど近く、閑静な住宅街に建つ住宅です。周辺に配慮し高さを抑えつつ必要なスペースを確保するために、地下1階地上2階の構成としています。

周辺に対しては、基本的にはプライバシーを確保するために、外壁に対する開口部を制限し、塀やシャッターで閉じた内部環境をつくりだしています。ただ一方で、道路側には一部空地を解放し、高さを抑えた塀や建物の先には大きな空が臨めるようにすることで、ゆったりとした表情をもたせています。吉祥寺の街の「力は抜けているが気品がある」部分を表現したいと考えました。

平面的には、長方形と45度振れた正方形を組み合わせた形状をしています。この45度振れた正方形に対して、残った三角の余白が2つの庭となりました。東の庭は1階から出ることを想定した庭、西の庭は地階のドライエリアとなり、上階には樹木がのびています。内部の角になる部分は吹き抜けとなり、この2つの庭を通して、東から西へとまわる陽の光を内部に届けています。

各階は内部でつながりながら、それぞれ特徴をもった居場所となっています。地階は、コンクリート打ち放し、グレーの塗装、銀箔貼り、といった無機質な素材で構成しました。1階はウォールナットや石材、柔らかい表情となる布クロスなどを用いてラグジュアリーな雰囲気をもたせ、2階は天井の高さを活かして、軽くてのびのびとした空間となっています。

やや大きな規模の住宅ではありますが、それぞれ必要なスペースに対して、丁寧に設えていくプロセスは小さな住宅と同じです。むしろ、強いルールをつくってしまわないように気をつけていくことで、きめの細かい設計ができたと思っています。